【決算対策】備品やパソコンの大量購入による節税と注意点

~しっかり経費に入れるために~

中小企業の場合、備品(いわゆる消耗品)や30万円未満の資産を購入すると、一括で経費にできます。30万円未満の資産は、年間で合計300万円までという制限はありますが、利益が見込める期に経費計上できると、節税に繋げられます。
しかし、買っただけだと次の期の経費になってしまうことがあるため、注意が必要です。

☆この記事で得られること

  1. 大量購入のメリット、デメリットがわかる
  2. 経費にするために気を付けることがわかる

大量購入のメリット・デメリット

メリット①単価が下がる場合がある。(都度購入より安く購入できる)
②経費になるため、節税に繋がる。
デメリット①一時的に資金が出ていくため、資金繰りに注意が必要。
②経費計上した次の期は、その経費は入れられない。

まずメリットです。
①モノによりますが、ロット多めに購入すると単価が下がる場合があリます。
②適切な処理をすれば経費になるため、節税に繋がります。

次にデメリットです。
①モノを大量に購入すれば、それなりの代金を支払う必要があります。
 一時的に資金繰りに影響しますので、注意が必要です。
②経費計上した期は利益を圧縮できますが、翌期はその経費を計上できません。

ここで、備品(消耗品)を経費とするために注意すべきポイントがあります。
経費にできるタイミングは、基本的に使い始めた時点です。
例えば段ボール100箱分の備品を買ったのに、期末のときに1箱しか開けていない場合、その1箱のみ経費にできます(残りの99箱は使ったタイミングで経費にします)。

備品は、毎期一定量を取得して経常的に消費するものに限り、取得した事業年度の費用とすることが認められています。ということは、経常的を超えてしまう量の購入は、経費として認められない可能性があります(使ったタイミングで経費になる)。
決算ギリギリでの大量購入は、想定より消化できないこともありますので、少し早めに購入し、使用することをおススメします。
また、例えば発注が3月、納品使用が4月でも、3月の経費になりません(4月の経費になる)ので、少し早めに動きましょう。

パソコン・スマートフォンはどうか?

一番最初に、30万円未満の資産について触れました。身近なもので想像しやすいのは、パソコンやスマートフォンではないでしょうか。
青色申告書を提出する中小企業は30万円未満ならまとめて経費にできます。しかし、年間で300万円が上限となります。
このラインを超えると固定資産に該当し、耐用年数に応じて経費を割り振っていきます。決算直前で購入した場合は、1か月分しか経費に入れられませんので、注意が必要です。
一方で10万円未満の資産は、300万円の上限はありません。

税金以外の視点ですと、従業員が少ない場合、誰がキッティングするか、という問題が出てきます。社長が複数台のパソコンのキッティングする時間はないでしょうし、電子機器のスペックは日々進化します。
梱包したまま寝かせてしまうと、経費にできないですし、実際使おうと思ったタイミングでは、また新しい機種が発売されているでしょう。型落ちした方が安かった、ということになりかねません。


経費にするために気を付けたいこと

すでに前述した内容もありますが、まとめると以下となります。

  • 大量に購入した際は、梱包したままにしない
  • 納品日が翌期になると、経費は翌期になってしまう
  • 代金支払いにより、一時的に資金が出ていく。資金繰りの管理が必要
  • 翌期も利益が出ているときは、翌期にその経費を入れることができない(当期に経費にしているため)
  • そもそも必要なものか
  • 購入する前に専門家に相談する

可能なら、「購入する前に専門家に相談する」が望ましいです。購入後に経費にできないことになってしまうくらいなら、「こういうもの買おうと考えているが、どうか?」といった相談することが、安心できるのではないでしょうか。

井上会計事務所