在庫を数える目的~法人編~

~在庫を数えるのって大変ですよね~

目に見える商品を販売している場合、その商品(もしくは原料など)を仕入れる必要があります。
もし、今年商品を仕入れて、来年お客様へ販売する場合、何かしないといけないのでしょうか?

(注)皆様にわかりやすいよう、当事業年度を今年、翌事業年度を来年、前事業年度を昨年 としています。

☆この記事で得られること

  1. 在庫を数える目的がわかる
  2. ただ在庫を数えるだけでなく、その情報を活用できると良い

今年仕入れて、来年お客様へ販売する場合は、

棚卸をして「今年は在庫として残ってますよ」と帳簿に表現してあげる必要があります。

なぜそのようなことをするのでしょうか。
それには在庫を数える目的を知る必要があります。

では、在庫を数える目的に入っていきましょう。


そもそも棚卸って何でしょう?
まずその意味を振り返ろうと思います。

棚卸とは?
製品、商品、消耗品などの数量を確認し、在庫の数量と金額を確定させる作業。

もう少し掘り下げましょう。

疑問①
なぜ在庫の数量と金額を確定させる必要があるのか?

回答
利益を計算する際の在庫は、仕入れた金額ではなく、払い出した金額で計算するためです。払い出した金額を「売上原価」といいます。


疑問②
なぜ払い出した金額で計算するのか?

回答
販売した数に合わせるためです。販売した数に見合う数量(=払い出した)を計算することで、適切な利益を計算できます。

例えば、今年の業績は以下とします。単価は便宜的に両方とも10,000円とします。
・販売した数は120個、総額1,200,000円。
・仕入れた数は300個、総額3,000,000円。

 金額
販売した120個1,200,000円
仕入れた300個3,000,000円

次に、仕入れた数を全て利益の計算に含めたとします。

 金額
売上1,200,000円
売上原価3,000,000円
損失△1,800,000円

損失が出てしまいました。
この損失額は、仕入れた数量が180個多いことから発生したものです。

実際どうでしょう?
仕入れた数量で計算すると、採算の管理が大変ではないでしょうか。
何が儲かってて、何が儲かっていないのかが見えにくいです。

また、在庫はもちろん販売するためにあるものですが、売れていないものまで利益の計算に含めてしまうと、利益をいくらでも操作できてしまいます。

さて、肝心の在庫を数える目的です。
先ほどの疑問①と②で、利益は払い出した金額で計算するとお伝えしました。

払い出した金額はどう計算するでしょうか?


答えは差額で計算します。
以下を例にしますと、今年お客様へ提供した商品の数は180個です。

 (個)
昨年末にあった商品在庫
(昨年の棚卸結果)
20
今年仕入れた商品300
今年末にあった商品在庫
(今年の棚卸結果)
200
 ↓ 
お客様へ提供した商品
(払い出した数)
120

昨年末にあった在庫20個は、昨年棚卸していますね。
今年仕入れた商品300個は、仕入れた数です。
今年末にあった在庫の数200個は、この棚卸でハッキリします。
結果、お客様へ提供した商品の数もハッキリして、利益を計算できるようになります。

在庫を数える目的はわかっていただけましたでしょうか。



次はその情報の活用です。
頑張って棚卸したのですから、どうせならその情報を有効活用しましょう。

以下は情報活用の例です。

  • 需要のない在庫がスペースをとっていないか
  • 長期的に残っている在庫が残っていないか
  • 不良品が混じっていないか

それぞれを目的に在庫を見ることもできますが、時間がかかってしまいます。
どうせならこのタイミングでまとめてチェックしてしまいましょう。

商品ごとの動きを改めて把握する良い機会です。

「商品が多いから、次の仕入は少し減らそう」
「次に仕入れる商品を置くスペースが、実はなかったことに気付いた」
「倉庫を借りて賃料を払っていたが、実はそこまでのスペースは必要なくて、倉庫を返却できるかもしれない」

ただ在庫を数えるだけでは、強制されているようでモチベーションが上がりにくいかもしれません。
自分に役立つ情報を集めるという視点で進めれば、やりやすくなるのではないでしょうか。

井上会計事務所