固定資産を購入したときの借入金利子の扱い

法人、個人どちらでも、固定資産を購入するときに、資金調達することがあります。
資金調達=借入ですので、利子が発生します。
この利子を支払うタイミングと、固定資産を使い始めるタイミングによって、必要経費にできるかどうかが変わります。

今回は個人に焦点をあてて説明します。

特に、事業を興すタイミングで投資をする場合、処理に注意が必要です。

☆この記事で得られること

  1. 借入金利子の全てが必要経費になるとは限らない、ということがわかる
  2. 処理より大切なのは、その投資を回収できるかどうか

利子の扱い


早速、表を用意しました。

業務の状況固定資産
使用開始
固定資産
使用開始後
初めての業務×
すでに業務開始×
◎取得価額に含める
×取得価額に含めない(必要経費にする)
〇どちらでも良い。

◎、〇、×と3パターン出てきましたね。
順番に解説していきます。

◎ : (初めての業務で固定資産を使用開始)
初めてその業務を始める場合で、その資金の借入れの日から当該固定資産の使用開始の日までの期間に対応する部分の利子は取得価額になります。

開業費のような、仕事を始める前の経費を特定の勘定科目にプールしておくという考え方に近いかもしれません。


〇 : (すでに業務開始しており、固定資産を使用開始)
この場合の利子は取得価額(①)に含めても、必要経費(②)にしても、どちらでも構いません。

①取得価額に含めると、減価償却で毎年少しずつ経費になります。
例えば利子100円を取得価額に含めて、5年で減価償却する場合、毎年20円を計上します。

②その年の必要経費にすると、一括で利子100円を計上できます。


× : (固定資産を使用開始後)
初めての業務、すでに業務開始、いずれも×なので必要経費になります。取得価額に含めません。

(所得税基本通達37-27,28、38-8)

もう少し具体的にしますと、以下の表となります。


取得価額に含める
独立準備中の方で、飲食店を営む予定。
厨房などを購入するために銀行から借入した。
→厨房などの使用開始の日までの期間の利子が対象

取得価額、必要経費
どちらでも可
すでに商店を営んでおり、その商品倉庫を建設するために銀行から借入れした。
→倉庫の使用開始の日までの期間の利子が対象
×
必要経費にする
使い始めた後の期間の利子が対象


これらのことから、固定資産を使い始めるタイミングや、ご自身の状況によって、利子の扱いが変わります。
実際にその状況になりましたら、専門家へ相談することをおススメします。

事業に力を注ぐことが大切

こんなことを言っては元も子もありませんが、投資をしてお金を稼ぐ、というビッグイベントの真っ最中に、利子の扱いなんてチマチマ気にしてられません。

投資した事業に力を注ぐことの方が大切です。

投資してお金を稼ぐことを「投下資本の回収」と呼びます。
「その投資した資産を使って、投資した以上に稼ぎましょう」ということです。

お金を借りるほどです。少額ではないでしょう。
そんなときに役立つものが、借入するときに作るであろう「事業計画」です。
事業計画と実績を比較して、順調なのか、そうでもないのか、投下資本をどれくらいで回収できそうか、分析に役立ちます。

分析するとき、傍にこういった利子の扱いや業績を気にしてくれる専門家がいると心強いですね。

井上会計事務所